
*(社)相模原法人会橋本支部の主催で、2月17日(日)午後2時30分~5時、サンエール相模原ホールで、トロンボーンコンサートが行われ、それに行ってきました。興味があったのは、視覚にハンディのある方が盲導犬を連れてコンサートをするという内容でした。行ってみると、会場は満席でした。
演奏者は鈴木加奈子さんという方です。中学時代は弱視でなんとか一番前の席で黒板の字が見えるくらいだったそうですが、大学時代にはかなり視力も落ちてきている中、昭和音楽大学音楽学部器楽学科を首席で卒業され、優等賞も受賞されたということでした。第7回ゴールドコンサートにて、楽曲賞受賞し、審査委員長の湯川れい子氏より、技術、作曲ともに高く評価された方です。現在はトロンボーンソリストとして、各地で演奏活動を展開中で、教室講師をする傍ら、オリジナル曲も多数制作されています。
第一部は講演会で盲導犬について、いっしょに来ていたナンシーという盲導犬についての話がありました。私は以前盲導犬について、興味があり、賛同して寄付を続けていた時があります。その時に盲導犬バッチも持っていたのですが、いつの間にか、寄付することを忘れてしまっていました。また、寄付していきたいと思います。
盲導犬がいることはかなり知られているのに、現在の日本にはまだ1000頭あまりしかいません。必要としている方は8000人近いので、8人に1人しか持っていないことになります。鈴木さんは待ち焦がれた盲導犬のナンシーとの出会いや盲導犬との生活などを話された後、本日が初めてという、ナンシーとの歩行を会場を使って行ってくれました。なかなか、見ることのできない様子に会場は静まりかえって集中していました。そして、見事なナンシーの誘導に拍手が沸きました。
盲導犬といっしょの生活には、いろいろな約束事がありますが、基本的には人がすることの危険を除く事が仕事なので、誘導といっても、目的地は人が分からないといけないとのことです。そのため、油断すると車道を歩いてしまったり、とんでもない方向に向かっていたりすることがあると話していました。信号も音が出るところは少ないので、人が車の通っている方向を音で判断するのだそうです。盲導犬を連れていても、間違いそうな時は一言声をかけてくれるととても助かるとのことでした。それに、盲導犬や聴導犬などの人の介助をする犬は、基本的にどんな場所でも人の行けるところは入れるように、法は改正されたのですが、まだまだ、お店によっては入店を断られることがあるそうです。入店については、鈴木さんからも最後にはなされた盲導犬協会の方からもお願いがありましたが、どんなお店でも受け入れを快くしてあげてほしいと思いました。
第一部の最後に、「With You」という曲がソロで演奏されました。トロンボーンの音域は男の人の音域に近いそうですが、ソロで奏でる音は胸にぐっとくるものがありました。
第二部は「ジュピター」他5曲が演奏されました。明るい曲の時には、自ら手拍子を求め、会場全体も手拍子によってひとつになって、曲をいっしょに楽しむことができました。視力にハンディがあっても、全く普通に振舞っている鈴木さん、お話が大好きということでしたが、言葉もきれいでよく伝わってきました。目が見える私には分からない世界ですが、本当に様々な不便を感じていると思うので、盲導犬がそばにいて、安心して演奏している姿に、良かったという思いともっと応援したいという気持ちが湧いてきました。最後にアンコールにも応えてくださって、一曲披露してくれました。
最後に盲導犬協会の方からのお話がありました。盲導犬は生後2ヶ月から1歳までパピーウォーカーが育て、その後半年から1年かけて訓練センターで訓練を受け、3回のテストの結果、適性が認められて初めてデビューできるので、人と時間がかかります。そして、2歳から10歳までが盲導犬としての仕事をします。その活躍できる8年間をたくさん作り出すためには、もっと多くの盲導犬を育てることが必要です。その育成費用は募金と寄付で賄われているということです。当然、募金と寄付が求められる内容ですが、それ以上に今の盲導犬がおかれている状況を知ってもらうこと、もっと盲導犬を受け入れてほしいとのお願いがありました。
私は常々、健常者といわれるなんでもできる人がいる反面、様々なハンディのために、思ったようにできない人がいる現状について考えています。私は、できる人が困っている人の手助けをするのは当たり前だと思っています。様々な人がいるのが社会です。いっしょに生活することが大切なのだと思います。我が家には、ADHDと知的障害のハンディを持つ息子がいますが、彼にはできることとできないことがもちろんあります。できないことをサポートすれば、彼は生活できます。余談ですが、彼は就職が内定しました。法律が決めた企業の障害者枠です。本当は、そんな枠を作るのではなく、みんながお互いを助け合えば、仕事も生活もできるのだと思います。できる人だけを集めて、企業の業績が伸びるでしょうか?既存の組織論でもあるように、仕事が上手くできなかったり、サボったりする人を排除して、人を厳選しても、そのグループからまた同じような人が生まれてしまうのです。その結果が今の日本の実状だと思います。学校も同じです。健常者と分けるのではなく、いっしょにすればいいのです。「五体不満足」には見事にそれを実践されたことが書かれています。
みんながいっしょに生活し、助け合う。その事を今更ながらに実感したのは、昨年の震災を経験された方々ではないでしょうか?自分のところだけ良ければいいのではないです。困っている人がいたら、助け合う。これが人が生きる「道」だと強く思います。
私もそういいながら、忘れていたことを思い出させてくださった、今日の演奏者、鈴木加奈子さんにとても感謝しています。
=ありがとうございました=
☆盲導犬の寄付を希望される方は、高城までお知らせください。
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